王座戦最終局第6譜(素潜り対決)

第6譜です。形勢は長い長い均衡の末に羽生王座が有利になってきました。悪形だった▲26銀や▲25桂がみごとに捌けてしまいました。正直このまま豊島七段が押し切るのかと思っていたのでかなりびっくりしていたことを覚えています。やはりこの将棋封じ手にして二…

王座戦最終局第5譜(将棋の深さ)

第5譜です。とうとう後手は振り飛車(?)にすることに成功しました。観戦記ではここまで比較的さらっと進んでいるのですが、実際は対局開始から12時間近くかかって辿り着いてます。実に色々分岐点はありました。そういう大変さをもっともっと観戦記の中で伝え…

王座戦最終局第4譜(羽生の上達法)

第4譜です。解説では触れてませんが、現代将棋っぽい視点でいうと最近▲24歩+△22歩みたいな飛車先の歩が凹んだ形が最近の将棋で増えてきた様に見えます。(もちろんコンピュータ将棋でも)この形は後手からみてそれほどいい形ではないですが、思われていたより…

王座戦最終局第3譜(コンピュータの影響)

第3譜です。序盤は羽生さんはゆったりとした感じで指していたのですが、この辺りから真剣な眼差しになってきたように見えました。控室では▲76歩をいつのタイミングで取ればいいのかをずっと話してました。 第2譜はこちら 第4譜はこちら

王座戦最終局第2譜(新しい横歩取り)

王座戦第2譜です。この将棋はプロ将棋の横歩取りの最先端で私はまったくこの形を知らなかったのですが、当日解説の遠山五段が二時間くらいかけて丁寧に教えてくれました。香川女流王将が早くから控室にきていたのが印象的でした。(当日は確か女流王将を防衛…

王座戦最終局第1譜(神に挑む少年)

第62期将棋王座戦最終局の観戦記を私が光栄にも書かせていただきました。日経新聞に載った記事をWEBにも上げたいとお願いした所、今回だけは特別にこのブログに載せても良いとのことでした。お言葉に甘えて今日から12日間連続で観戦記を載せたいと思います。…

クラウドファンディング、今回は諦めます。

11月3日(月・祝)に電王トーナメントがあり、新進気鋭のプログラムAWAKEが優勝しました。Ponanzaは残念ながら準優勝でした。 以前記事に書いたように、今回の電王トーナメントで優勝したら羽生名人と戦うためのクラウドファンディングをやるつもりでした。 羽…

羽生善治名人と戦いたい

皆さんお久しぶりです。Ponanza作者山本一成です。ブログを更新しよう、更新しようと思いつつ、半年くらいサボってました。 第四回電王戦、団体戦最後ということで電王戦Finalが発表されました。開催は2015年3月から4月ということです。今回も選りすぐりのプ…

医は仁術なり

今日たまたま東京駅にある大きな本屋さんに行きました。大体、私はこういう時はすぐコンピュータの書籍にいくんですけど、今日はたまたま隣の医療の本棚に行きました。今の時代だと膨大なコンピュータの書籍があるんですけど、もちろん医学書もものすごく膨…

続・バイナリ畑と将棋の神様

前回の記事を書いていて思ったのだけれども、人生30年近く生きてきてようやく自分の好きな物語がわかってきた。才能の開花する物語が好きなんだ。モヤモヤした人が、日々うまくいかない人が、壁にぶつかっている人が、突破してその力を吐き出す物語が好きな…

バイナリ畑と将棋の神様

今日「バイナリ畑につかまえて」の編集者の方に会いました。私は「バイナリ畑で捕まえて」の作品でコンピュータ将棋のことを描いた「人類は投了しました」がすごい好きなのですが、編集の人になんでこれが好きなのですかと言われて、困ってしまった。なんで…

バックギャモンに学ぶコンピュータとのつきあいかた

皆さんバックギャモンというゲームをご存知だろうか?バックギャモンとは大雑把に言えば、とてつもなく奥深いすごろくのようなゲームだ。ちなみに私にとってボードゲームで将棋の次に頑張った言えるゲームだ。加えて私のバックギャモンの師匠はポーカプレイ…

続・コンピュータとラッダイト運動

前回の記事をアップした後、Twitter上で「山本はプログラマだからそういう意見が言えるのだろう」「変化を受け入れろというのは強者の意見ではないのか」という趣旨の発言を見た。確かにそういう一面があることを私は受け止める必要があるだろうが、ここでは…

電王戦最終局 屋敷九段とPonanzaの自戦記(後半)

前回の記事の最後にFail Lowという言葉がでました。コンピュータ将棋はある局面を探索するときに、評価値をある程度予想して、その予想を元に探索をします。予想値の下限をアルファ、予想値の上限をベータといいます。よく聞くアルファベータ探索のアルファ…

電王戦最終局 屋敷九段とPonanzaの自戦記(前半)

屋敷九段とPonanzaの電王戦最終局が2014/4/12にあった。場所は将棋の総本山、将棋連盟。屋敷九段はどのようなコンピュータ対策をしてきたのだろうか?Ponanzaはどういう序盤展開に持ち込まれるのだろうか?色々な不安が錯綜したが、もはや作者としてはできる…

Ponanza思考ログ

Ponanzaの思考ログを公開します。4万行以上あるので、正規表現で一部のログ(具体的には/^<1:info nodes/)を抜いてます。ログを追うと電王手くんとの通信に少しだけエラーがあったみたいです。このプロトコルの詳細が気になる方はこちらへ 追記 YSSの山下さ…

第3回電王戦最終戦 屋敷九段とPonanzaの見どころ

長かったこの5週間もついに明日で終わる。棋士とコンピュータが全力で闘う第3回電王戦はついに明日最終局を迎える。明日の対局の前に二人(?)の指し手の中から私が気に入っているものを挙げていこう。 屋敷九段の指し手の中で、私がもっとも気に入っている…

コンピュータとラッダイト運動

皆さん、ラッダイト運動というのをご存じだろうか。ラッダイト運動というのは、1810年代にイギリス中・北部の織物工業地帯に起こった機械破壊運動というものです。産業革命時の効率的な機械の発明でいままで手作業で行われていた仕事が激減、当時の不況下と…

野生の電王手くん

クマ将棋作者さんが野生の電王手くんを作ったようです。すごい(*´ω`*) ミニ電王手君を自作してみた、半日で再生回数2000突破。過去最高の伸びかも。http://t.co/HCslQZwAIh— GouKoutaki (@gou_koutaki) April 9, 2014

電王戦第五局が始まるまでに決めておかないといけないこと

今週土曜日(2014/4/12)に第3回電王戦第5局が始まる。プログラマは事前にプログラムを提出しており、もうできることは何もないのだが。まだ決めてなければならないことがひとつある、いつ投了するかということだ。 電王戦で、コンピュータ側が負けたのは合…

マルチコアは皆さんが思っているようなマルチコアか?

コンピュータ将棋を理解する上で、大事なことの一つにマルチコアというのがあります。皆さんのお手元のPCや最近ではスマホも当たり前のようにマルチコアになってきています。ところで皆さんがマルチコアと言っているものはどんなものなんでしょうか? CPUと…

電王ponanzaに勝てたらノートパソコンプレゼント! の感想

「電王ponanzaとドスパラなんば店で対局し、勝利できたらノートPCをプレゼント!」という企画を斎藤慎太郎五段と私で昨日はしていきました。最初は挑戦者がまさかの五人しか集まらないというとんでもない状況だったのですが、ゲストでアマ強豪の今泉さんや中…

電王戦第4局 ツツカナと森下九段の観戦記

4/5(土)小田原城で先手ツツカナと後手森下九段の対局が行われた。二人の紹介についてはこの記事を参考にしてみてください。この記事では早速将棋の内容を見ていこう。ちなみに本局はリアルタイムで番組を見れてないので、記事の内容の精度がかなり自信がな…

【イベント告知】大阪なんばでPonanzaに勝ったらドスパラPCプレンゼント

もう一度イベント告知です。あまりイベントの周知ができてないと思うので、会場での当選確率は高いのではないかな?皆様ぜひ来てください。会場には私も行きます。 @issei_y スペシャルゲストに最近朝日アマを制した今泉健司と前回GPSの時に100万円を獲得し…

森下卓九段とツツカナのお話

明日(2014/04/05)小田原城で森下卓九段とツツカナと第3回電王戦第4局が始まる。人類側は勝ち越しに望みをつなぐには一敗もできない状態が続いている。今日は二人(?)の背景について説明しよう。 森下卓九段と言えば、森下システムである。第1図を見て…

コンピュータとの付き合い方

本記事は以前、私が将棋倶楽部24のコラムで書かせていた内容を若干修正して転載してます。なお転載に関しては日本将棋連盟様から許可を頂いております。 ■ 将棋とコンピュータ 電王:山本一成 はじめまして皆様、私はPonanzaという将棋プログラムを作成して…

Null Moveと将棋の不思議な関係(その2)

前回は将棋におけるNull Move Pruningのお話をしました。今回はNull Move、つまりはパスをするということが将棋においてどんな性質がある手なのか考えてみましょう。 「将棋のほとんどの手は悪手である」羽生さんが言っていたとされてます。将棋は初期局面で…

【イベント告知】電王ponanzaに勝てたらノートパソコンプレゼント

4/6(日)に大阪のドスパラなんば店で電王ponanzaに勝てたらノートパソコンをプレゼントという企画をします。さらに番組最後に特別ゲスト有名アマ強豪二名も参戦予定です。ぜひ見てください

Null Moveと将棋の不思議な関係

今日は将棋プログラムの探索について少し書いてます。将棋プログラムは探索と評価という両輪が補完しあって動いています。探索というのは人間でいう読みと同じような操作です。また評価は人間でいう形勢判断に近いものです。少しくらい評価にダメな部分があ…

コンピュータ将棋のよくある誤解(その2)

このブログは電王戦をより楽しんで頂くための一助となればと思い書き始めました。なにか意見などありましたら、twitterで声をかけてください。今日もよくある誤解について解説していきたいと思います。 ■ よくある誤解将棋の名人を倒したら、次は完全解析? …