電王戦のテーマの一つは「将棋には自由はあるか?」というものです。今回はPonanzaの将棋をしょっちゅう見ている将棋ウォーズ運営チームの皆さんにPonanzaの創造性についてコメントをもらったので紹介してみます。
この将棋の序盤の74歩-72銀-73桂の早めのセットから、81飛車と引いた形がPonanzaが将棋の棋理を自ら考えている部分を感じました。普通81飛車という手はある程度指し手が飽和状態にならないと人間同士では指されません。それを玉形が不安定な序盤で選択し、定跡にとらわれない合理的な手の選択で気づけば作戦勝ちの模様を築いています。プロ棋界でも62金型の角換わりは増えていますが、この構想も今後流行っても何ら不思議はないと思います。
―— 石井直樹(将棋ウォーズ運営チーム&元奨励会三段&将棋ウォーズ七段)
将棋ウォーズ棋譜(supercar五段対2016Pona九段)
将棋ウォーズ棋譜(cybertrance五段対2016Pona九段)
新手というほどではないのですが…。Ponaが最新系で唯一指しているのが横歩取り後手番。早めに角交換して3三桂を跳ねるのが好きみたいです。これで勝てれば横歩取り簡単ですね。
―— 岩元智春(将棋ウォーズ運営チーム&元奨励会&将棋ウォーズ五段)
ハメ手の△28角を打った局面。普段は着実な好手を積み重ねるイメージが強いPonanza。一目ピンチな局面だが、最強Ponanzaは1秒で読み切っていた。そして、驚異的な切れ味で局面を打開した手はとても印象に残っている。▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲55銀!の手順はまさに驚愕の切れ味だった。
―— 林隆弘(元支部名人&将棋ウォーズ七段)
・・・ここまでのくるとただのPonanzaの自慢ですね(笑)でもコンピュータの将棋にも創造性があると思えてこないでしょうか。
今週末の土日二日間(4/9,4/10)で電王戦が始まります。人間代表は第一回叡王(えいおう)戦の決勝で郷田王将を勝ち破った山崎叡王。コンピュータ代表は第三回電王トーナメントを勝ち抜いたPonanza。第一局目の場所は平泉・中尊寺。二つの存在が持ち時間双方八時間の二日制の対局を行う。