読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

コンピュータ将棋のよくある誤解(その1)

このコーナーはコンピュータ将棋によくある誤解を解消していくコーナーです。常日頃コンピュータ将棋はもろもろの誤解を受けているのでその点を少しでも解消できれば、とこのコーナーを作りました。 

■ よくある誤解
コンピュータは定跡を覚えているから強い?

もっともよくある誤解の一つです。有名ブロガーちきりんさんも自身のブログの中でこんなふうに言ってます。

ちきりんは、これも将棋ソフトが強くなった大きな要因なのかなと思っていました。人間は定跡を覚えたり暗記したりするのが大変だけど、機械ならすぐに覚えられ、忘れず、実際の局面で「あっ、これはあの定跡だ!」と思いつくことの漏れもありません。

だから人間より有利そうじゃん? と思ったんです。

 コンピュータが定跡を丸暗記できても、将棋が強くならない理由は3つあります。

  1. コンピュータは過去にあった数万局の対局を覚えることができます。でもその程度の量はコンピュータにとって、何十年も昔からすべて覚えられる量です。もちろんその時代のコンピュータ将棋がとても弱いことは皆様もご存知のはず。
  2. 定跡を覚えていても、同じ局面になることがあまりないという点です。プロ棋士同士の対局では定跡を突き詰める意味で同じ局面を選んでいる場合も多々ありますが、将棋の序盤は非常に多様なのです。
  3. これがもっとも大事な理由です。丸暗記しても定跡の意味をわかってなければ全く役に立ちません。丸暗記でなんとかなるほど将棋は甘くないってことです。

f:id:ponanza:20120808012800j:plain

■ まとめ 

つまり、コンピュータに特別な知識がなくても、「コンピュータは定跡を覚えているから強い」と言う事は正しく無いとわかります。今コンピュータが挑戦しようとしている課題のほとんどは記憶容量の問題ではなく、もっと別の問題なのです。

■ 追記
twitterで以下のような質問を受けました。

コンピュータの四間飛車が強いのは、定跡がいっぱいあるからじゃなくて、前例から作られた評価関数がうまく出来ているからです。評価関数の数値は局面そのものを覚えているわけではなく、局面からエッセンスを取り出して構成されたものです。評価関数の仕組みについてはまたこんど解説します。