コンピュータとラッダイト運動

皆さん、ラッダイト運動というのをご存じだろうか。ラッダイト運動というのは、1810年代にイギリス中・北部の織物工業地帯に起こった機械破壊運動というものです。産業革命時の効率的な機械の発明でいままで手作業で行われていた仕事が激減、当時の不況下ということもあり、多くの人が失業しました。彼らの怒りの矛先は彼らの仕事を奪った、機械に向かいました。

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機械を破壊しようとする人々 機械を壊す刑罰は死刑らしい 画像はこちらから

 

当時の人々が命がけで機械を壊していたことは、自分の正義のために闘ったのは、容易に想像ができます。しかし現代の視点からみれば、残念ながらナンセンスじゃないかなと思います。機械を壊す*1のではなく、機械がある時代に生まれたからどうすればいいのか考えるしかないじゃないかな・・

今コンピュータというものが猛烈な勢いで賢くなっています。動物の中でもっとも賢い生き物である人間が、その地位を維持できるのも後100年もないでしょう。その時どう振る舞うかをこれから考えませんか?

機械を破壊するのか?それとも新しい価値観を見出すのか?

今私達が生きている時代は、後世から産業革命以上の事が起こった時代と認識されると思います。今人類史上もっとも面白い時代に我々は生きているのです。(続く

*1:ちなみに私はこの話を聞くと機械を作った人の悲しみとか考えてしまいます

第3回電王戦最終戦 屋敷九段とPonanzaの見どころ

長かったこの5週間もついに明日で終わる。棋士とコンピュータが全力で闘う第3回電王戦はついに明日最終局を迎える。明日の対局の前に二人(?)の指し手の中から私が気に入っているものを挙げていこう。

屋敷九段の指し手の中で、私がもっとも気に入っている手は第56期棋聖戦本戦の△2三金である。後手の屋敷九段は、当時は奇襲戦法と見られていた横歩取り△3三桂戦法を使い、独創的な序盤で勝ち切った、まさに忍者屋敷という棋譜である。

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なんと相手は森下九段、少し話ができすぎている気がする(笑)

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どう動かすか謎に見えた後手の左金が五段目に出て、面制圧完了。一方先手は攻撃態勢がまだできない

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まさに圧勝。後手玉に傷ひとつついてない

 

対するPonanzaの手は第21回世界コンピュータ将棋選手権決勝、Ponanza対YSSの▲1六歩打だ。

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突然虚空に打った歩、どういう意味なのだろうか・・ 皆様考えてみて欲しい

 

この手の意味は本当に本当に難しい。多分かなり強い人でも、この手の意味をすぐ理解するのできないのは無いだろうか?*1この手の意味を一言でいうと、YSSが動くのは待っているのだ。後手に△3七成香と指し手来いといっているのだ。*2

コンピュータ将棋は私に将棋の大きさを教えてくれた。人間がつい落としてしまう指し手の可能性を示してくれた。将棋は私が思うより、まだまだ可能性があることを教えてくれた。明日第三回電王戦最終局、将棋というゲームの新しい可能性が見えたら、Ponanzaの作者としてコレ以上の喜びはない。

*1:本当に強い方、解説記事書いてくださいm(__)m

*2:今でも悪手か好手かわからない。ただ今までにない概念の指し手だと思う