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Null Moveと将棋の不思議な関係(その2)

コンピュータ将棋

前回は将棋におけるNull Move Pruningのお話をしました。今回はNull Move、つまりはパスをするということが将棋においてどんな性質がある手なのか考えてみましょう。

「将棋のほとんどの手は悪手である」羽生さんが言っていたとされてます。将棋は初期局面で30通りの指し手があるのですが、そのなかで定跡とされているのは▲7六歩、▲2六歩、▲5六歩くらいでしょうか?それ以外の手もなくは無いのですが、▲8六歩とか▲9八香とか明らかに指さないほうがいい手もいっぱいあります。パスをする手って何番目くらいの指し手でしょうか(図1)。

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第1図 初期局面でパスをする、すなわち後手になるというのはどれくらい悪い手なのだろうか?

 

将棋でパスする手の良さは、局面にもよりますが、私の感覚では上位5位くらいには入ってくるイメージです。加えてパスはもっとも良い手となる可能性はあまりないです。*1

パスする手がもっとも良い局面はzugzwang*2といいます。例えば、どうぶつしょうぎは後手必勝と言われていますから、初期局面はzugzwangですね。Null Move Pruningをするときの最大の敵がこのzugzwangです。zugzwangの時Null Move Pruningをしてしまうと、いざその局面になった時にNull Moveするよりいい手が無いわけですから、非常に困ったことになってしまいますね。

Null Move Pruningはコンピュータチェス由来の技術なのですが、チェスではzugzwangはかなり簡単に出現します。そのため探索内部でNull Move Pruningを使う場合はzugzwangになっていないか慎重に検討されます。一方将棋はzugzwangはほとんど発生せず、非常に相性がいいです。遠く離れた西洋の地で産まれた技術が東洋のゲームでも利用されている。なんだか不思議ですね。


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将棋のほとんどの手は悪手である。

*1:仕掛けに入る直前とかの時はパスしたいことをたまにあります

*2:読みはツークツワンクです。ドイツ語とか?ドイツ語のようです